新品のピアノと中古再調整品ピアノ
前のページで、私は「良いピアノを作るための絶対不可欠な4つの条件」について、ご説明させていただきました。下記がその4つの条件でしたよね。
- 良質な材料
- しっかりとした設計
- 丁寧な組み立て
- 妥協を許さない調整
では、その真逆である『お勧めできない新品ピアノ』について、少しお話しましょう。ピアノは新品ならすべてその品質が保証されているかのような認識をお持ちの方も多いと思います。
お勧めできない新品ピアノとは
おススメできない新品ピアノとは、下記の特徴を有するピアノです。
- 木材の使用量が極限まで抑えられている
- 本来あるべき部品を省き、簡素化されている
- 単に組み立てられただけの「家具」のようなピアノ
これらは大きさや重さなどの外観やまたピアノに対する知識から、ある程度判別することはできるでしょう。ところが、目に見えない、知識からも推量できない問題に「調整」があります。営利優先のあまり、メーカーでの調整にかける時間があまりにも少ないため、ピアノ本来の音色を引き出すに至らないのです。
これらが新品ピアノの実情です。廉価のピアノほど、全てにおいてコストダウン重視で作られていますので、その傾向が強く出現してしまうのも仕方ありません。お勧めできない新品ピアノとは、こういったピアノのことを指します。買ったばかりの新品グランドピアノの音が良くないから見て欲しいと、ピアノ講師から依頼され、私が仕上げ調整を行ったこともまだ記憶に新しいところです。
お勧めできる中古再調整品ピアノとは?
1.製造年に着目してみてください
古いほど材質が良いのは前述の通りですが、ピアノは構造的に複雑ですので、材質だけで良し悪しが決まるわけではありません。ピアノ線の全交換等オーバーホール済みのピアノは別として、通常の中古ピアノをお子様の教育用としてお求めになる場合は、あまり古すぎないほうが良いと思います。お勧めは'80年から'90年頃に製造されたピアノで、状態の良いピアノです。
2.ピアノの高さが重要です
高さ131cmのピアノの中から選ばれると間違いありません。大きくて重いピアノです。どうしても小さめのピアノがお好みなら、121cmまでなら大丈夫ですが、それ以下ですと音もタッチも期待できません。設計の良くない物は小さいピアノに良く見られます。しかしながら、小さな木目の可愛らしいピアノをお探しの方も多いようです。これも小林にご相談くだされば、その中でも状態の良いピアノをお探しし、こだわりの調整により、1ランク上のピアノに仕上げますので、お気軽にお申し付けください。
3.交換部品等の詳細を確認しましょう
中古再調整品ピアノの場合は、製造年が同じでも、1台1台使用頻度に違いがあります。当然修理の内容が変わってきます。ポイントは的確に修理が行われているかという事になります。交換部品等の詳細を説明できる販売員が信用できると思います。言い換えれば、詳細情報を入手できないピアノの購入は避けたほうが無難です。また部品交換をしてあるのならば、その部品のメーカーも聞いてメモしておくと良いでしょう。
4.調整に対する販売店の考え方を聞いてみましょう
特にこの中古再調整品ピアノの分野では、技術力と1台のピアノの調整にかける時間が販売店によって違うので、それがそのままピアノの良し悪しと耐久性に表れます。営利優先の販売店は、この工程を省く傾向にありますので、注意が必要です。