ワイケーピアノファクトリーのお客さまからのメッセージです
お客さまの顔のページです。私が実際に調律に伺ったお客さまやおまかせ購入でピアノを納品したお客さまからのメッセージをご紹介いたします。
調律や納品したピアノを心から喜んで頂いている笑顔に接するのが私の至福の時です。当社では、必ずメッセージと複数画像で掲載させていただいています。ご紹介事例はほんの一部です。
小林さんを通して、ひとりのどなたかが希望を持ち
ピアノに・・調律に出逢ってくださいますように・・
ベヒシュタインがやってきた。20年以上憧れてきたピアノが我が家にやってきた! これは奇跡です! このストーリーの立役者は「YKピアノファクトリー」の小林調律師。ベㇶシュタイン購入までのストーリーをお話しいたします。
マイスターの生きざま
小林さんのピアノへの愛情とこだわりはいつも尊敬を持って見ていました。今楽器がどういう状態なのかを分かりやすく説明してくださり、その上で今できることは何かを教えてくださる。楽器の最善を引き出すプロです。楽器を調整中の小林さんは神々しいまでに思えていました。
ええっ!そんなに大変ですか? 我が家には39年前のヤマハのアップライトピアノと30年近くのカワイのでっかいグランドピアノがありました。私にとっては親友のような存在。しかしこのグランド、高校のときに買ってもらった頃から音がならなく、固く、響きも伸びないと感じていました。でも、これが与えられた私のピアノ。心から感謝し、このピアノからの素晴らしさを引き出せるように演奏技術も内面も磨こうと心がけてきました。その願いはピアノと響きあっていたのでしょうか。このピアノは私の大親友となりました。
そんな中、数年前から調律のときに小林さんからこう提案されるようになりました。
「前田先生、いよいよオーバーホールの時期でしょうね・・。」毎年、そう言われても「まだ大丈夫!私、ちっとも困っていないもの!」そう思っていました。しかし・・しかしです。
ユーチューブ動画をアップしてみてはっきりわかりました。このピアノの限界が来ているな。先生、夢かなえましょう! 私には夢がありました。
ベヒシュタインという、ドイツベルリン生まれの世界最高峰のピアノをいつか持つこと。リストやブラームス、バックハウスやボレットが愛し続けた銘作。ある日何気なく夢を語っていました。
「ベヒシュタインを弾いて過ごしたい。」
昨年春から私の気付かないところでこの奇跡は動き始めました。小林さんがベヒシュタインを使った演奏と楽器の特徴とマイスターの想いを語られるレクチャー兼コンサートに行かれその内容を記録した冊子をくださいました。私のベヒシュタインへの憧れはいよいよ現実へと動き始めていったのです。といっても、住宅ローンまでいかないものの恐ろしい高額ピアノ。私には無理だな。そしたら小林さんがそっと言いました。
「先生、お金ためて10年後買って、それから弾く年数。今思い切って買って今から弾き始める・・。確かに高額ですよね。でも毎日コーヒー1杯飲みに行くのを我慢してベヒシュタインの音色と共に過ごす豊かさを選ぶ・・。いかがでしょうね。」
わあ、そんな考え方があったのか!! 先生、まずは弾きに行ってみましょう。そして動き始めました。
ショウルーム巡りを計画してくださったのです。工房で出逢ったベヒシュタイン。歴史の重みと、神々しい佇まいを持ち静かに存在していました。きれいにお湯で手を洗い、ふうっと息を整え弾き始めました。なんとすごいことでしょう。
世界最高峰の職人の手によって生み出された楽器とはこんなにすごいものか。
「心の深みにあるその響きを願って紡いでごらん。」楽器は声のない声で私に語り導くようでした。恐る恐る今までの弾き方を手放し、紡いでみました。初めて聴く音色に驚きました。
その日、私はこのベヒシュタインを購入することを即決しました。
小林さんはベヒシュタインを迎え入れるためのバックサイドのことを全てきれいに整えてくださいました。
今まで愛して弾いてきたカワイのグランドを引き受けてくれるところを見つけてくださり、ベヒシュタインを運ぶ、信頼できる運送屋さんの手配もしてくださいました。迎え入れる当日は、私とともに迎えてくだり、その丁寧に運び入れられる状況を共に見守られました。
その後、神聖な雰囲気で、じっくりとベヒシュタインの調整をしてくださいました。そのお働きは本当に感動ものでした。私の願いをそっとくみ取って先回りして整えてくださる。本当に感謝・感謝でした。
小林さんは、私にいつもおっしゃてくださいます。
「先生、多くの方に音をとおして希望を与えてくださいね。」私にとって音楽は命そのもの。音楽は仕事やキャリアを超えて、命そのものであり、愛そのものだと受け取っています。生徒さんに、また演奏を聴いてくださる方に、音の世界を通して、私達は音の響きにいつも包まれていることを感じ取って頂けたらと願っています。そして生きるって素晴らしい!音楽って素晴らしい!一つのことに打ち込むって素晴らしい! を知り深めていってほしいなと願っています。
生徒さんの変化
ベヒシュタインはこの教室・・この響きあう家に音楽が置いてくださった恵みです。生徒さんは身体全体で楽器の音色に聴き入っています。20代の生徒さんはレッスンで弾きながら涙を流しました。
「先生の演奏で泣くことはあったけれど、自分の出す音で涙が溢れるなんて…。」そうです。音楽はひとりひとりに触れるのです。その、ひとりひとりに心にそっと寄り添い触れる楽器は、職人の願いと思いと愛情に根差した素晴らしい腕によって支えられているのです。
皆さんのピアノの時間を・・人生を豊かにしてくれる職人 小林さんの調律、そして最善を与えようとしてくださる生き様には、何よりも小林さんのピアノへの・・音の世界への深い愛と真心があるのです。
私は小林さんに出逢い、長くお付き合いさせて頂いていることに心から感謝しています。皆さんの音の世界が益々豊かになりますように。そして与えられた状況の中での最善を職人によって支えられ喜びをもって奏でていかれますように……。
まえだやえこピアノ教室 まえだやえこ様
補足ですが、この度前田先生にお買い求めいただきましたピアノは1929年製。
世界恐慌の年に生まれ、その後の世界大戦と、特にドイツですから暗い時代を生き抜いたピアノです。先生もそれを感じ、ベヒシュタインで初めてユーチューブにアップした曲はショパンのノクターン「遺作」です。
小林泰浩